法改正で一般貨物自動車運送事業の許可要件が厳しくなった??

法改正で一般貨物自動車運送事業の許可要件が厳しくなった??

運送会社関連のサイトを作成する中で、法改正によって運送会社設立が難しくなった話

法改正で一般貨物自動車運送事業の許可要件が厳しくなった??

運送会社に勤めていて、かなかな運送会社を作ることを調べる機会はなかったのですが、今回一般貨物運送事業の許可要件を調べるにあたり、2019年11月1日より運送会社を作るための要件がかなり厳しくなった事に驚きました。

 

正確な理由まではわかりませんが心無い運送会社の方が、監査が入って事業所停止や許可取り消しされたらまた新たな会社を作るという行為に対する対策だと個人的には思っております。
さすがに近年の大型自動車(トラック、バス)の事故等の問題点が多すぎます。このような対応を取られても仕方ないのかもしれません。
確かに監査が入って、営業停止や許可の取り消しを受ける前に新たに運送会社を作ってしまえば一応営業できますからね。しかも処分受ける前に廃業届を出しておけば欠格事由にも該当しないという逃げ道もありました。

 

そういった悪質な事業者への対策だと思いますが、健全に運送会社を作ろうとしている方にとってはかなりハードルが高くなりました。

主な変更点

主な変更点は下記の通りです。

 

欠格事由に関して
申請法人や役員等の欠格期間が2年から5年に長くなる。
そしてその対象が、常勤役員のみだったのが非常勤役員も欠格事由の判断対象になる。

 

資金の要件に関して
人件費、燃料費、油脂費、修繕費が2か月から6か月に変更
車両費、施設購入費、使用料が6か月から12か月に変更
任意保険対物200万円以上の条件が追加

 

他にも改正された部分は多々ありますが、個人的に新しく運送会社を作ろうとしたときに厳しくなったと感じたのはこの2点です。

主な変更点の影響

欠格事由などは新たに運送会社を作ろうとする方にはそこまで影響が出ないかもしれません。健全に生活をしていて、運送会社での役員経験等がなければまず該当しない項目だと思います。それにさすがに該当する場合自覚があると思うので、知らずに申請して許可が下りないという事はないとは思います。
ただし、運送会社の役員の方を設立させる運送会社の役員にしたり、非常勤の監査役員などを人にお願いする場合にはかなり注意が必要です。

 

他の運送会社で役員をやっていた経験を新しく作る会社で発揮してほしい、自分だけでは心もとないので他の運送会社に勤めていた方に監査役になってほしいなど、様々な理由で役員をお願いする場合もあると思います。ただその方が欠格事由に当てはまっていると認可が下りない可能性があるので注意が必要です。
今後は役員を選定する際には経歴調査等が必要になってくるかもしれません。
ただ今のところ「役員」に限られているようなので、普通に労働者として雇い入れる場合には現時点では問題ないと思います。

 

資金の問題はかなり重要な問題です。かなり厳しくなっていると思います。今までと比較しても2倍〜3倍の資金が必要な計算になります。
ただでさえ会社を始めるとなると予想外の出費というのが多いにもかかわらず、資金的な条件が上がる。しかもかなり多額に…今まで以上に新規参入が厳しくなると思います。

 

ですが、任意保険に関しては個人的に賛成です。
運送会社に勤めていた時に事故対応もしていたのですが、一般的に言う「もらい事故」の頻度も多くありました。
そういった「もらい事故」は主にトラックステーション等の駐車場内で運送事業者から受けるものがほとんどでした。駐車中に相手の不注意で損害が出ているので、当然相手方の会社が修理費用を払うわけです。しかし対物の保険に入ってない運送会社さんは思いのほか多かったです。
そういった任意保険に入っていない運送会社の方と修理に関する交渉の際に、私は修理先や金額等の確認をして、修理を開始してよいかを確認してから修理に出しているのですが、いざ請求すると「少し待ってほしい」「高すぎる」などと言われたり、担当者が捕まらないなど、円滑に支払われることがなかなかありませんでした。ひどい時は事故から支払いまで1年以上もかかったこともありました。
こういった経験をしていたので、対策という意味も含めて任意保険への加入の義務化はいいことだと思います。

まとめ

確かに今後運送業界に新規参入しようとする方がとってはかなり条件が厳しくなりました。
特に会社から独立して運送会社を立ち上げようなんて考えている方にとってはかなり大変な事になったと思います。
ですがこの法改正は悪質な運送会社の予防策にもなると個人的には思います。今回の改正で悪質な事業所の排除ができ、少しでも運送業界がクリーンなイメージが根付けばと思っています。