筆入れの制作

筆入れの制作

筆入れの試作を制作した時の制作日記です。

筆入れの試作を作ったときの話

写真から察していただけるとは思いますが、今回は結構失敗してしまっています。
なので失敗した制作日記になります。

 

 

息子が幼稚園の時から使っていた筆箱が6年の月日を経て、とうとう壊れてしまいました。
新しいものを買えば済む話だったのですが、不意に息子が「お父さんが作ってくれればいいのに…」と言いました。

 

今まで筆入れを作ったことがなかったので、いい経験になるかと思い、息子に筆入れぐらい作ってみてもいいかなと思い制作に取りかかりました。
でもさすがにおもいっきり失敗したものを持たすのも気が引けてしまうので、とりあえず試作したものを作ってから、本番に取り掛かろうと思いました。

 

私は今までカービングをした作品が多かったために主にツーリングレザーを使用した作品が多く、ソフトレザーはほとんど取り扱ったことがありませんでした。なのでどうせ試作品を作るのであれば、今まであまり経験のないソフトレザーでの挑戦を試みる事にしました。
そういった挑戦的な部分もありましたが、これから中学生になることも考えて、荷物が多い際に堅いハードタイプの筆入れだとバックの中でかさばってしまうかもしれないと考えたのもあったんですけどね。

 

初めて作る筆入れ…
あまり懲りすぎても失敗する可能性をあげてしまうと思ったため、シンプルで簡単なものにしました。
下の写真は裁断した状態の物です。
?

 

シンプルなものを簡単にサクサク作る予定だったのですが、なかなか思うようにうまくいきませんでした。
写真左にある小さい革が両サイドにくる作りになっているのですが、この上の部分が減り返しになっています。
まず最初につまづいたのがこの減り返し部分の漉き作業です。
漉き機があれば難なくできるものと思いますが、私はそのようなハイテク機器を持ち合わせていないため、当然のように革包丁を使用します。
ソフトレザーは柔らかく、刃を入れると動いてしまうため非常にやりにくかったです。
実はこの小さいパーツを漉きの失敗で3回作り直しました。

 

 

パーツもできたので、あとは接着して縫う作業になります。
ここでまた問題が…
私はソフトレザーを扱う経験が少なすぎてコバの処理をどうしていいかわかりません。
本来であればコバが出ないようにして、コバ処理が必要にならない設計をすれば問題なかったものと思いますが、設計の時点でそこまで頭が回っていませんでした。
しかも床面にも裏張りしてしまった状態で気づきました。
色々考えたのですが、最終的にレースで巻いてコバ部分を隠す作戦にしました。

 

しかしこの作戦が完全に裏目に出る事に…
このレースでのカガリが結果的に全体的にしわが寄ってしまいました。

 

原因はソフトレザーに対してレースの方が固く、牽引力が強く働いてしまったためだと思います。
もしかしたらソフトレザーと裏張りの間に心材のようなものを入れて置けば牽引力にも負けず、しわが寄りにくかったかもしれません。

 

しわが寄った時点で作り直そうか悩んだのですが、とりあえず作り直すにしても試作なので最後まで仕上げようと思い、カガリを終え、チャックの留め具を付けて完成です。

 

一応失敗作だとしても息子にこんなイメージの物を作ろうとしている旨を伝えようと、完成したものを見せたところ、「全然これでいいよ」と言ってくれました。
もう一回作ろうと思うんだ…と伝えたのですが、「これがいいよ」と言ってくれました。
何だかんだで、できた息子だったようです。

 

 

まとめ(注意点)

  • ソフトレザーの漉き作業は慎重にしなければならない
  • ソフトレザーにカガリをするときにはレースの強度バランスに気を付けて行う。